長州ファイブ

krur2007-02-22

時は幕末。武士である事を捨て命がけでロンドンに渡り「生きたる機械」となって日本を変えるために奔走した長州藩士たちを描いた作品。
主人公は「日本工学の父」と呼ばれる山尾庸三。攘夷といいつつもこれでいいのかと疑問に思った事がきっかけとなって5人の長州藩士が禁を犯してロンドンへと旅立つ。確かに当時の日本は諸外国との間に歴然とした差があっただろうし、それを目の当たりにした彼らの衝撃はすごいものだっただろうなと想像する。彼らが今の日本の基盤となる部分を持ち帰ってくれたのだな、と思うとちょっと感慨深いよね。お札だって遠藤謹助がロンドンで見て感動して作ったものだったし、井上肇伊藤博文も志半ばで帰国し「藩」ではなく「国家」としての道を進めないものかと考えたり、鉄道や造船業。こうして未発達だった文明や工業や様々なものが日本にも根付いていったわけです。あまり深く考えないけれど、確かに遅れを取っていた日本がこれだけ成長できたのも、やはりきっかけとなる誰かの存在が当たり前だけれどあったんだなと思うと、本当に素直に感動しました。
描かれた内容としては、庸三が造船業を学ぶ辺りからは庸三メインで他の人はほぼ出てこないし、日本に帰った後の彼らは全く描かれていないので、その辺りはもったいないなとは思ったけれど、これはこれでいい映画だなと思います。出て行く前の夜のサムライである事を捨てる瞬間とかもゾクッとしました。途中、向こうについて英語で挨拶したり、生活していくシーンでは笑ったりできるコミカルなシーンもあるし、普通に楽しめる(と言っていいものかもわかりませんが)いい映画だなと思う。
松田龍平自体はそこまで好きでもなかったし、正直今まであまりうまいと思えなかったけれど、これに関してはすごくいい。あと高杉を演じる寺島さんもよかった。*1
今のところ超単館での上映なので*2行きたくても行けない人もいるかもしれないけれど、少しでも興味がある人は見てみるといいと思います。

*1:こちらはちょっとしか出てきませんが

*2:今後どこかでやるのかなあ?