読了(24/100)

ユージニア

ユージニア

色んな事がすごくこわい。そんな本だった。
ある夏、名家で起こった大量殺人事件。そして生き残った盲目の少女緋紗子と謎の詩ユージニア。
物語は語り手となる人が各章ごとにあの事件にまつわることを話すというスタイルで進みますが、彼らは一人一人がそれぞれの真実を語る。真実というのはある事象を見る人によって主観やらが入り混じり形を変えてしまう。人は永遠にわかりあえないのかなと思わせられるそれくらい誰かが誰かと食い違っていたりする。話が進むに連れてうっすらと緋紗子と犯人だとされた人物の像がうかびあがってくるんですが、それすらもホントはどうなのかわからない感じ。どんどんと不安な気持ちにさせられておそろしくなってくる。ホントにこわいかったです。最後は結局いつもの恩田作品らしく終わってるのですが、目が見えるようになった緋紗子に対する周囲の変わりようがこわいです。緋紗子は目が見えなくなるかわりにカリスマ性を手に入れたけれど、目が見えるという事を取り戻した事によってその特別さをみんなが感じなくなった。あの辺りも本当にあっと思わせられる感じでした。結局真実はどうだったのか?と自分で読んだ後に推測してみても不思議な感覚が抜けない。本当に不思議な世界でした。すごくこわいけどすごくおもしろかったです。